特集・インタビュー
2018/03/01

必見!ファンドマネージャーが教える確定拠出年金の運用方法 (後編)

退職金や年金を自分で運用する、今話題の確定拠出年金(DC)。前編では、ファンドマネージャーのおふたりに、企業型DCの概要をうかがいました。後編では遂にお二人のプライベートなポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)を公開していただきます!

─では、早速ですがおふたりのポートフォリオを説明していただけませんか? 

A:僕は、基本的にはバランス型ファンドに近いんですよね。国内と海外だと半分ずつくらいで、株式と債券だと5対4くらい。残りの1割はREIT(リート)を入れて調整しています。REITというのは、不動産へ投資する投資信託のことで、リスクは株式と債券の間くらいの商品です。僕のポートフォリオはリスクのバランスが取れていますので、初心者の方にもおすすめのポートフォリオだと思います。

B:僕は海外株式が中心の積極型ポートフォリオです! 先進国の株式に1/3程度投資しつつ、大きな値上がりが期待できそうなアジアやブラジル、ロシアの株式にも1/3程度投資しています。海外株式がポートフォリオの約70%を占めています。また、新興国の高い金利も魅力的だと考えているので、新興国債券にも投資しています。

─おふたりは同じファンドマネージャーでありながら、ポートフォリオは対照的ですね。たしかにBさんのポートフォリオは特徴的で面白いです。はじめて何に投資するかを決めたときの話を教えていただけますか? 

B:新入社員でしたし、そこまで深く考えていませんでしたね。最初のポートフォリオは、ほぼ新興国の株式だけで、今よりももっと積極的でしたよ。当時は「BRICs(ブリックス)」という言葉が流行っていました。BRICsというのはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国(※)の総称で、将来的に経済成長を遂げると期待されている国々のことです。もちろん、実際に経済が発展するかどうかは誰にも分らないのでリスクもありますが、発展した場合はその分、大きな利益がでるかなと思って。結局、当時は、新興国の発展性を考えて「えいっ」って気持ちで投資先を決めたわけです(笑)。
(※)現在は「s」を大文字にして、南アフリカを含めた5カ国とするのが一般的。

─つまり、最初は難しいことは考えずにはじめても大丈夫ということですね。その後はどのように運用されたのでしょうか?

B:実際、後に若気の至りだったことに気づきまして、もう少し資産の分散を心掛けようと思い、先進国の株式や債券などへの投資を始めました。DCを新卒ではじめると35年以上、運用期間がありますから、長い目でコツコツ続けていくのが大事で、途中経過はあまり気にしなくて良いかなと。

─資産の割合を変更するときはどんなことを考えているのでしょうか?

A:僕は、海外の商品の中で新興国と先進国の比率を調整したり、国内外の債券の商品の中から利益が出たものを売却して、値下がりした資産に振り向けたりしています。リーマンショックの時は国内株式の比率を上げたりもしましたね。リバランス(比率の調整)のコツは、最初に決めたポートフォリオの資産構成割合をあまり崩さないようにすることです。

─では、どのタイミングで、どのように資産比率を調整するのが理想ですか?

A:僕は仕事柄、月に1回くらいは見直して、保有している資産の比率や、毎月の投資先の比率をちょこちょこ変更していますよ。一般の方で細かく調整するのが難しいということでしたら、ルールを決めてしまえばいいと思います。お給料のタイミングとか、運用状況の報告書が来たときとか。

B:僕もタイミングとしては、年1~2回の報告書が届いたタイミングで見直すのが良いと思います。でも、実際のところ、僕が調整したのは今までに3回だけ。2~3年に1回ですね。リバランスの時期は人それぞれなんですよ(笑)。

─では、総合的に判断して、ご自身の運用は100点満点中何点だと思いますか?

A:運用利回りが年率10%を超えていたら100点と言えたけど、5.67%なので60点くらいかな。

B:僕は80点くらいですね。僕が加入している401kプラン全体の想定利回りが年率1.75%なので、5%超えていたら、まずまず合格点だと思います。勇気を出して買ったロシア株式の商品が値上がりしているほか、良好な投資環境を受けて、ほとんどの資産で含み益が出ているので、まずまず満足です。

─初心者の場合は運用利回りが年率何%超えたら合格点と言えますか?

B:自分が想定している運用利回りを超えたら合格ですね。5%を超えたらかなり順調だと思って良いですよ。でも、最終的な勝ち負けは60歳になって年金や一時金を受け取る時に決まるものですから、途中経過で一喜一憂しなくてもいいと思います。

A:運用したからと言って資産が年率20%、30%増えるという幻想は抱かない方が良いですね。まずはプラスになることを目指せばいいと思います。

─もし、マイナスになってしまった場合、マイナス何%になった時に運用を見直した方が良いですか?

B:何%という明確な数字はありませんが、いくつかの商品を持っている中で明らかにおかしな動きをしているものがあれば、その原因を探るくらいはした方が良いと思います。僕の場合は、ロシア株式、中国株式、ブラジル株式など、個別国の影響を受けやすいものに投資していることもあって、ブラジル株式だけがどんどん下落した時には、何かあったのかなと調べたことがあります。原因によってはリバランスを検討した方が良い場合もあります。

A:僕はB君のように個別国の株式ではなく、先進国や新興国といった複数の国にまとめて投資する商品を多く保有しているので、そういった個別国ごとの情報は気にしないですね。ただ、リーマンショックのような経済危機を受けて、株価の下落率が数十%にもおよんだときは、債券を売って株式を逆張りで買うかどうか検討することはあります。運用が難しいと思ったら、公的年金のポートフォリオをマネしてみるのもいいですよ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところが公的年金の運用を行っていますが、ホームページで資産配分比率などを公開しているので、迷ったら参考にしてみてください。

─初心者でもリーマンショックのような経済危機を乗り越えることはできますか?

A:一概に「はい」とは言えませんし、たしかに、あの一瞬だけ切り取ったら絶望的な気分になりますよね。でも、あれから10年がたって世界経済はすっかり成長力を取り戻しています。DCの良さは、長期にわたって積立投資をすることで時間分散効果があることです。時間分散は、投資する上でリスクを軽減する大切な要素なんです。もし株式に不安があるのなら、リスクが低い債券を選ぶ方法だってあります。初心者でも経済危機を乗り越えられると思います。

B:今のところ、僕が加入している401kプランでは、加入している人の9割以上の人は運用利回りがプラスになっているようです。現時点でマイナスになっている人は、例えば1つの国の株式のみに全額投資しているなど、リスクを承知で極端な運用している場合だと思います。でも、個人によってリスク許容度は違いますので、そういう運用も間違いとは言い切れません。あまり、おすすめはしませんけどね。

─個人のリスク許容度はどういった基準で決めればいいのでしょうか?

B:これ以上は減らしたくないと思う金額…としか言えないですね。その人の収入や生活習慣によって金額は違うでしょうから。リスク許容度が高いと運用の自由度は増しますが、高すぎると回復不能のダメージを受ける場合もありますので、必ずしもリスク許容度が高いからいいとも言えないんです。

A:精神的な面は大きいでしょうね。強いて言うなら枕を高くして寝られる程度が、その人にとっての適切なリスク許容度かな。

─最後に、初心者のみなさんに向けてアドバイスをお願いします!

B:自由にポートフォリオを組めることがDCの良さですので、積み立てた金額が少ないうちにいろいろ試して欲しいですね。むしろ、最初は負ける方が良いとも思っています。最初から勝ってしまうと「俺って天才」なんて勘違いしてしまうかもしれないでしょ(笑)。 

負けた方が「どうして失敗したんだろう」と考えて勉強するので、金融リテラシーが上がっていくと思います。是非、DCを、投資をはじめるきっかけにしてもらえればなと。お金に対する不安や問題は一生ついて回ることですので、それに対する経験値は少しでも多い方が良いと思います!

A:「習うより慣れよ」ですね。DCの運用は敷居の高いものではありません。リスクの低いものからはじめれば、初心者でもちゃんと資産を増やせるということが実感できると思います。組み合わせ方に迷ったらバランス型ファンドがおすすめです。基本的な資産のバランスを保って、ある程度の期間投資していけば、資産が減るリスクはだいぶ小さくなると思いますので、難しく考えずにまずはじめてみて下さいね!

以上、ファンドマネージャーが教える確定拠出年金(DC)の運用方法でした。
あなたも確定拠出年金(DC)を活用し、将来に向けた資産形成を考えてみませんか。

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