マネーライフ
2017/12/13

日本国民の◯%が課税対象?他人事ではない相続税

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
相続税はお金持ちが払うものだから私には関係ない、トラブルになるほど財産がないから心配する必要などない……そう思っている人も多いでしょう。

ところが2015年の基礎控除額の引き下げによって、相続税を支払う人は引き下げ前より約1.8倍に増加しました(国税庁の「平成27年分の相続税の申告状況について」より)。また相続人同士の話し合いがまとまらず、家庭裁判所での認容・調停となった遺産分割案件のうち、約3/4は遺産額が5,000万円以下だった、というデータもあります。他人事と決めつけず、相続税の基本を知っておきましょう。

2015年の基礎控除額の引き下げで課税対象が大幅に拡大


相続税には「基礎控除」と呼ばれる非課税枠があります。相続等により取得した財産の合計額が、この範囲内ならば相続税を支払う必要はありません。ところが2015年から基礎控除額の計算方法が変わり、なんと4割も縮小されてしまいました。

これまで相続税の基礎控除額は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」と計算されていましたが、2015年からは「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」になりました。例えば法定相続人が妻と子ども2人だった場合、これまでは8,000万円の遺産があっても相続税がかからなかったのに、現在は基礎控除額が4,800万円なので、8,000万円のうち3,200万円が課税対象額となります。

法定相続人の数による基礎控除額の違いをまとめたのが下図です。この金額の違いが、相続税を支払う人が約1.8倍も増えた要因なのです。

↓図表①
 
 

これまでは相続税がかからなかった場合も、相続税の支払いが必要に!


基礎控除額が引き下げられたことで、相続税の対象になる人が増えたことを実感するために、下図の具体例をもとに相続税額を計算してみましょう。

例えば、遺産総額が7,000万円、法定相続人が子ども2人だったとします。これまでならば基礎控除額が「5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円」ですから、相続税はかかりません。ところが、現在の基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」ですから「7,000万円-4,200万円=2,800万円」が相続税の課税対象額となります。これを法定相続割合に従って1/2ずつに分けると1人分の課税対象額は1,400万円となり、この金額に対して1,000万円超3,000万円以下の税率「15%」を掛け、同区分の控除額「50万円」を差し引いて1人分の相続税額(=160万円)を算出します。というわけで、この家族に対する相続税の総額は「160万円×2人=320万円」となります。

↓図表②

 

かつては0円だったものが、現在は320万円です。金額はもちろんですが、相続税を納付する対象となる人が、大幅に増えた理由が理解できたはずです。

相続税支払いの有無と「争族になるorならない」は別問題


基礎控除額の引き下げで相続税の納税対象者がこれまでの約1.8倍になったとはいえ、割合でいうと全体の8%ですから、相続税の対象ではない人が大半を占めているのが現実です。というのは、相続財産の多くを占める土地の評価をはじめ、相続財産額を算出するにあたってはさまざまな特例があるからです。

例えば、自宅を配偶者や同居親族が相続した場合などは、一定の面積までは評価額が80%減額されるという「小規模宅地等の特例」があります。そもそも土地を評価する際も、実勢価格(取引価格)より多くの場合で低い評価となる路線価が用いられます。また、配偶者には法定相続分または1億6,000万円のどちらか多い金額までは非課税という軽減制度があるため、両親のどちらかが亡くなった一次相続の際は、相続税の対象とならないことが多いのです。

ただし相続税の支払い対象にならなくても、相続人同士が遺産をめぐって争う、いわゆる「争族」問題が発生する場合もあります。それを裏付けているのが下図です。家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割案件の遺産総額の割合を示しているのですが、なんと、相続税の対象には確実にならない1,000万円以下が33.1%、対象になったとしても税額は大きくない5,000万円以下が42.4%です。つまり家庭裁判所で争われる遺産分割案件の3/4は、遺産総額が5,000万円以下なのです。

↓図表③

 

相続税は、被相続人が亡くなってから10ヵ月以内に申告、納税しなくてはいけません。期限を過ぎると延滞税を取られるのはもちろん、相続財産を評価する際の特例などが使えなくなる場合もあります。相続財産の大小に関わらず、いざというときに親族間で揉めないためには、機会を見つけて話し合っておく必要がありそうです。

※実際の会計・税務処理につきましては、税理士など専門家へお問い合わせ下さい。
 
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