マネーライフ
2018/05/08

お金を減らしたくない人は、物価上昇によるお金の目減りに注意

(写真=Denphumi/shutterstock.com)
(写真=Denphumi/shutterstock.com)
長くデフレの時代が続いた日本でも、じわじわと物価が上昇傾向を強めています。物価が上昇すると、実は現金や預貯金の価値が目減りすることになります。お金を目減りさせたくない人は、物価上昇率の動向に注意しながら、将来のインフレリスクに備えて資産運用に目を向ける必要性が高まりそうです。

物価はじわじわと上昇傾向

総務省が2018年1月に発表した2017年の全国消費者物価指数(全国CPI、2015年基準)は、変動の大きい生鮮食品を除くベースで前年比0.5%上昇しました。原油高に伴ってガソリンなどエネルギー関連の価格が上昇したことが影響しています。

また、直近の2018年1月では、生鮮食品除くCPIは前年同月比0.9%上昇しました。日銀が目標とする2%にはまだ遠い状況ですが、長くデフレの時代が続いた日本でもじわじわと物価が上昇傾向を強めつつあり、インフレリスクが次第に高まってきています。

物価上昇局面では現金の価値が目減り

物価が下落基調となるデフレ局面では現金の価値が上がることになります。なぜなら、物の価格が下落するため、同じ金額でも前より多くの物を買うことができるようになるからです。消費者の立場だと大歓迎とも思えますが、物価下落に伴って企業業績の悪化、賃金の減少、失業の増加、そして需要の減少というデフレ・スパイラルに陥るおそれがあります。

逆に物価が上昇基調となるインフレ局面では、現金の価値が下がることになります。なぜなら、物の価格が上昇するため、同じ金額でも前より買える物が少なくなるからです。物価上昇に伴って金利が上昇すれば預貯金の利率も上昇しますが、その時期は物価の上昇より遅れがちです。特に固定金利型で満期の長い定期預金の場合は、インフレが加速するほど物価上昇率と預金利率の差が大きく開き、実質的な目減りが大きくなります。

したがって、インフレ局面では「タンス預金」と呼ばれるように現金や預貯金をじっと持っているだけでは、お金の価値が目減りするのを「指をくわえて見ているだけ」という状況になりかねません。資産の目減りを避けたい人は物価上昇率の動向に注意しながら、将来のインフレリスクに備えて資産運用に目を向ける必要があるのです。

インフレ局面に強い資産運用とは?

一般的にインフレ局面に強い資産運用とされているのが、株式投資、不動産投資、外貨建て投資などです。

まず株式投資ですが、株価は基本的には企業の利益を反映します。インフレになると、製品や商品の売値と原価がインフレに連動して上昇し、その差額である利益もおおむねインフレに連動して増えます。そのため、株価もインフレに見合った形で上昇するので、株式投資はインフレに強い資産運用といえます。

次に不動産投資ですが、土地や建物の価格がインフレに連動して上昇することは容易に想像できると思います。また、土地や建物の価格を基に計算される家賃も、タイミングは少し遅れますが、インフレに連動して上昇します。もし、資金を固定金利で借り入れて不動産投資をしている場合は、インフレになると借入金と不動産価格、あるいは支払利息と家賃の差が大きくなり、利益が出やすくなります。そのため不動産投資もインフレに強い運用といえます。

外貨建て投資とインフレの関係は、少しイメージしづらいかもしれません。そこで、インフレになると、現金の価値が下がって物の価値が上がることを思い出しましょう。現金を「円」、物を「海外の通貨」と考えればいいわけです。つまりインフレ率が高い国の通貨は安くなりやすく、インフレ率が低い国の通貨は高くなりやすいのです。日本は、これまでインフレ率が低かったので円高になりがちでしたが、今後インフレ率が高くなってくれば円安になる可能性があります。したがって外貨建て投資がインフレに強いといえるわけです。

インフレに強い国債もある

国債は、一般的な固定利付債の場合、利率と元金額が固定のため利払い時や償還時に、物価上昇率との差が目減りすることになります。つまり、国債への投資はインフレに弱い運用です。しかし、物価連動国債や変動金利型10年満期個人向け国債は、インフレによる目減りを防ぐことに役立ちます。

物価連動国債はインフレ連動債とも呼ばれます。表面利率は固定ですが、物価動向に連動して元金額が増減するように調整されます。したがって物価上昇局面では連動して元本が増加するため、結果的に利払い額と償還額が増加して目減りを防ぐことができます。

個人向け国債には変動金利型10年満期、固定金利型5年満期、固定金利型3年満期の3種類があり、このうち変動金利型10年満期は、適用金利が半年ごとに実勢金利に合わせて見直されるため、物価上昇にやや遅れたとしても、固定金利型に比べて目減りを防ぐことができます。

インフレリスクに備えて資産運用を

2013年4月に日銀総裁に就任した黒田総裁の任期は2018年4月まででしたが、国会の同意を受け、再任・続投することが決定しました。そのため、デフレ脱却を目指してきた日銀の金融緩和政策は、今後も継続することが見込まれます。将来のインフレリスクに備えて、現金や預貯金以外の資産運用に目を向ける必要性が高まりそうです。
 
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