投資信託をはじめる
2018/09/04

為替ヘッジ「あり」「なし」で迷っている人へ

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
海外の資産を組み入れた投資信託の中には「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」の2種類を用意しているものがあります。初めてこの選択肢を目のあたりにした人は、どちらを選べばいいのか迷うのではないでしょうか。そのようなときの参考になるよう、為替ヘッジの仕組みと考え方を説明します。

為替ヘッジとは

為替ヘッジとは、外貨の先物取引やオプション取引を利用して、為替変動リスクを低減することです。投資信託でいえば、為替レートの変動で基準価額が上昇したり下落したりする、その振れ幅を小さくすることです。

資産の一部または全部を海外で運用する場合、外貨建ての株式や債券などを買います。外貨建て資産なので、為替の変動が運用結果に影響します。米ドル建ての株式に投資するファンドであれば、米ドル円レートが円高になると円ベースでは資産が目減りしますが、円安になれば円ベースでの資産は増えます。

この「為替による資産の増減」リスクを低減するのが為替ヘッジです。

為替ヘッジ「あり」を選択した場合と「なし」を選択した場合

海外の資産を運用する投資信託には「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」を選べるものがあります。「あり」を選択した場合は「なし」を選択した場合よりも、為替の変動が基準価額へ与える影響が小さくなります。

例えば、米国の株価指数であるNYダウ(ダウ工業株平均株価)と連動するタイプのインデックスファンドがあったとします。仮に、株価指数が1年間で10%上がった一方、同時期における米ドル円レートが10%円高になったらどうなるでしょうか。

「為替ヘッジなし」の場合、円高の影響を直接的に受けることになります。株価指数が上昇した分の10%は、円高になった分の10%と相殺されて、円でみたリターンはプラス・マイナス・ゼロに近くなります。

一方、「為替ヘッジあり」の場合は株価指数の上昇分に近いパフォーマンスが得られます。上昇分に「近い」というのは、あとで述べるように為替ヘッジにはコストがかかるからです。

では反対に、10%円高ではなく、10%円安だったらどうでしょうか。「為替ヘッジなし」の場合は、株価上昇と円安の恩恵をダブルで受けられます。一方「為替ヘッジあり」の場合は、円安の恩恵を受けられず、株価上昇のリターンのみとなります。

為替ヘッジの仕組みとコスト

為替ヘッジの仕組みはファンドによって異なりますが、代表的な方法は「為替先物予約」を使う方法です。為替先物予約とは、将来の指定された日に交換する為替レートをあらかじめ決めておく取引です。

例えば、現在の為替レートが1米ドル=100円のとき「1年後に1米ドル=98円で交換する」と決めておきます。そうすることで、1年後の実際の為替レートが1米ドルあたり130円になろうが90円になろうが、98円で取引できるわけです。この100円と98円の差額の2円(仮定であり常に2円というわけではありません)はおおむね交換する通貨の短期金利差になるように計算されており、この差額が為替ヘッジのコストです。

為替ヘッジはしたほうがいい?それともしないほうがいい?

為替ヘッジ「あり」「なし」のどちらを選択するかは難しいところです。端的にいえば、「円の価値が下がる(=円安になる)、または変わらない」と思う人は「為替ヘッジなし」を、「円の価値が上がる(=円高になる)」と思う人は「為替ヘッジあり」を選ぶと、予想が当たったときにリターンが大きくなります。

どちらのタイプにするのか迷うときは、「どうして海外の資産に投資しようと思ったのか」を考えてみるとよいでしょう。新興国や米国の高い経済成長率に目をつけたのであれば、経済の強い国は通貨も上がると考えて「為替ヘッジなし」を選択するとよいでしょう。一方「ある株式や債券のパフォーマンスに注目しており、それがたまたま海外の商品だった」ということであれば「為替ヘッジあり」を検討する余地もあります。

為替ヘッジ「あり」「なし」の判断は海外投資の考え方によって変わる

「為替ヘッジなし」の投資信託は、為替レートが変動すると基準価額が影響を受けます。「為替ヘッジあり」は為替変動の影響を低減できますが、完全に排除できるものではなく、また金利差相当分のコストがかかります。

為替レートも相場ですから、株価などと同様に、正しく予想することは簡単ではありません。ですから為替ヘッジの「あり」「なし」は、為替レートの見通しよりも投資の目的に沿って判断する方が無難です。自分がなぜ海外の資産に投資するのかという目的を初めにはっきりさせてから、為替ヘッジの「あり」「なし」を選びましょう。
 
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